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「和家具専門」は個性。老舗金物問屋が挑む次なる一手。 | 株式会社 西川商店

Update: 2018.10.31|CategoryTOPICS, よみもの

 

中央区日本橋小伝馬町に店を構える西川商店は1917年創業の和家具用金物の専業問屋。「民芸箪笥や桐箪笥用の金物でうちにないものは、きっと他でも簡単には手に入らないと思います」。そう自負するのは四代目西川亨さん。和家具用金物という専門性の高いフィールドの中で、豊富な商品バリエーションと在庫量こそが西川商店の最大の強みだ。

 

「そもそも鍛冶屋であった初代が、自ら作るのではなく、仲間達が作った金物を仕入れて売り始めたことが西川商店の始まりです。昔は各家庭に必ず箪笥がありましたから、それだけ需要もあったということですね」。時代の移り変わりとともに、箪笥の需要も減り、多くの金物問屋は内装用などの建築金物に転向していったそう。その中で西川商店は、西川さんのお父様である三代目が和家具に特化する方針を定め、専門性を高めることで生き抜いてきた。そしてそのバトンを四代目の西川さんが受け取り、多様化する社会の荒波に挑む。

 

「和家具に限らず、家具業界全体は今まで競合していなかったものと競合するようになりました。例えば近年だとクローゼットなどの造り付けの収納を備えた居住空間が増え、箪笥などの収納家具は必需品から嗜好品に近い存在になっています。そうなると、携帯電話などを含む嗜好品という大きな枠の中でお客様に和家具を選んでいただく必要があります」。

 

一方、昨今のインバウンド需要の影響で和家具の新しい可能性も感じている。「外国人観光客をも意識した和テイストのホテルやレストランが増えています。そのような場所で演出の一部としてお使いいただく機会を頂いたり、海外で活躍していたデザイナーさんなどにも好んで使っていただけているので、今までにない新しい使われ方も増えてきています」。

 

しかしそれはあくまで一部。市場の変貌とともに、鋳造、彫金、鍍金などの金物作りを支える担い手の数も減少している。このような金物を作る職人たちのもつ技術を絶やさず、それをより多くの人たちの目に触れる機会を作ることが命題だと言う。

 

「そのためには、より気軽に見てもらい、身近においていただける商品が必要だと考えました。そこで今期より職人たちのもつ技術で作る根付や帯留などを作り始めました。その商品は、和箪笥の存在も感じていただくために、和箪笥の鍵穴を隠す金具である『引明』と言うものの一部を取り入れたものになっています。身につけるものという、いままでの経験にない商品なので、製作における課題も数多くあり、職人たちと試行錯誤を続ける日々ですが、お客様のすぐ近くにおいていただいて、その暮らしに和の彩りを添えるようなものとすべく挑戦していきたいと思っています。そのような品々ができた暁には、和家具金物のみならず、和家具作りを支えるすべての職人に再び光が差し込むのではないかと思っています」。

 

西川商店の和家具用金物という専門性こそ、これから他業種とコラボレーションしていく上で特別な存在感を放つオリジナリティになるはずだ。

 

西川商店のオフィスで使用されている民芸箪笥。

今期よりスタートした新ブランド、「槌の音」の帯留。

西川商店のオフィス。商品が所狭しとおかれている。

西川亨社長(右から2番目)と西川商店社員のみなさん。

 

文:引地海

 

 

株式会社 西川商店

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