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卓越した印刷技術を活かし、笑顔を生み出す会社に。|アジルジャパントレーディング

Update: 2019.12.23|CategoryTOPICS, よみもの

2014年に設立されたアジルジャパントレーディングは、商品の開発・販売と国内外の魅力的な製品を取り扱う商社機能を併せ持つ企業だ。出資元は、1961年創業と歴史あるアポロ製作所。同社の白井健一代表取締役社長は、設立経緯を次のように振り返る。

「アポロ製作所は60年近くにわたって印刷技術を培い、高度かつ多彩な印刷を提供してきました。オリジナルでの展開を考え、アジルジャパントレーディングを興すことにしたのです。在庫を抱える危険はありますが、オリジナルなら値付けの調整でリスク管理も行いやすい。『いくつの笑顔を作れるか?』という僕の中でのミッションを果たすには、自社の印刷技術を生かした独自ブランドの展開が不可欠と考えたのです」(白井さん)

 

アポロ製作所はシルクスクリーン印刷やインクジェット印刷などを手掛け、金属やプラスチック、革、木材など、さまざまな素材に希望通りの印刷を行う技術を持っている。世界の超有名ファッションブランドから、直接声がかかったこともあるという。

「特別な機械を導入しているわけではありません。くだけた言い方をすると、無い知恵を絞ってどうにかしています(笑)。それに、ここ荒川区にはさまざまな企業が籍を置いていますから、そのネットワークもお借りしています」(白井さん)

 

特に強みとしているのが、「マッスルプリント」と呼ばれる印刷技術だ。2回3回4回と、同じ場所に何度も精密に塗り重ねることで立体感を表現。素材を問わないのも特徴で、金属ならプレス成型したような凹凸感を、木材なら漆のような光沢を、革ならこれまでにない質感を生み出せる。

かつてはこの技術に惚れ込んだドイツ人デザイナーと手を組み、マッスルプリントで立体成型した布製ランプシェード「HORATIO」を開発。ドイツ・フランクフルトで開催された世界最大級の消費財見本市「アンビエンテ2016」にて、「極めて画期的」と評価された。

 

アジルジャパントレーディングで数多く取り扱ってきたのが、スマートフォンケースだ。抜群の立体感を表現したモデルや、独特の質感が現れたモデルなど、30以上の製品を生み出してきた。

しかし人材不足もあり、一時休眠状態に。そんな折、会社に訪ねてきたのが黒河春美さんだった。前職在籍時、展示会で面識を持った白井社長のもとへ営業に向かったところ意気投合し、メンバーに加わることを決意した。

「自由な発想の下で、世の中に必要とされるモノヅクリを行いたいと思っていました。もともと印刷技術に興味がありましたし、休眠状態から脱却したいということで、力になれると考えたんです」(黒河さん)

黒河さんはしばらくアポロ製作所で勤務して印刷技術を学んだ後、自己資金を出資しアジルジャパントレーディングの代表取締役に就任した。

 

2019年5月から黒河さんをトップとする新体制となり、各展示会場等で知り合ったデザイナーやアポロ製作所のネットワークを活かして、新製品開発を加速。高度な印刷技術を活かし、水を入れると光の屈折によって絵柄が変わって見えるボトルや、ラメが浮遊するスマホケースの製品化を進めている。

参画した東東京モノヅクリ商店街では皮革製造業者と協業し、牛革にマッスルプリントを施してロゴを立体的に表現した製品を開発。それを活かしたサコッシュ(ミニかばん)の製作をスタートした。

「素材屋さんから、『こんな立体的な印刷をした牛革は見たことがない』との反応をいただきました。ウチの技術やアイデアがあったからこその、特別な製品になると思います」(黒河さん)

 

市場の動向を見据え、必要とされる製品を今後も生み出していきたいと二人は語る。

「これからもたくさんのデザイナーや企画発案者と出会い、想いを形にして利益も還元していける、さまざまな方の自己実現を果たせる仕組みを構築していきたいと考えています」(黒河さん)

「たくさんの人が笑顔になるような活動を続けていきたいですね。いまは2人の会社ですが、従業員を増やし、働きがいのある会社にしてきたいと思います」(白井さん)

INFORMATION

アジルジャパントレーディング

〒116-0013 東京都荒川区西日暮里1丁目49−11 アポロビル 2F

電話: 03-6458-3296